初めて手作りごはんをつくろうとしたとき、愛犬にとって必要な栄養素を過不足なく与えられるか不安を感じる人は多いです。
ただ、最初はあまり難しく考えず、色で食材を選んで作れば、栄養バランス満点のごはんをつくることができますよ。主な食材の特徴を一覧でご紹介しますので、”オリジナルごはん”をつくる参考にしてみてくださいね。


この記事でわかること
1食に6色の食材を取り入れるのが理想的
手作りごはんで、飼い主さんが一番頭を悩ませるのが”栄養バランス”です。
ただ、どの食材を使ったらよいかと困ってしまう場合には「色」で食材を選ぶようにしましょう。色にこだわって食材選びをするだけで、自然と栄養バランスの整ったごはんができあがります。
まずは「穀物、肉・魚類、そのほかの野菜などの食材を、3対4対3」の割合で作ってあげるのが犬にとっては理想的です。そのうえで、1食にいろいろな色の食材を取り入れるように心がけておきましょう。
どの食材も、愛犬の健康な体をつくるための必要な栄養素を数多くあわせ持っていますが、次章では色別にとくに多く含まれている栄養素についてご紹介します。1食に盛り合わせると理想的な比率も書いておきますので、あわせて覚えておくといいですよ。
各色の食材に多く含まれている栄養素と効能

黄色は全体の20%
代表食材…かぼちゃ、ニンジンなど
✔繊維質を多く含むものが多いです。
✔消化をうながし、おなかの調子を整える効果
✔黄色の穀類は、運動するためのエネルギー源
緑色は全体の10%
代表食材…ほうれん草、オクラ、ブロッコリーなど
✔ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富
✔気持ちを落ちつかせ、体力を回復させる
✔殺菌効果も期待できる
赤色は全体の40%
代表食材…赤肉、赤身魚、トマト、赤ピーマンなど
✔赤肉や赤身魚には体を構成する成分に必要なたんぱく質が豊富
✔嗜好性が高く、食欲増進効果
✔赤色の野菜には、がん予防に効果的とされるリコピンが豊富
白色は全体の15%
代表食材…ダイコン、白米、そうめんなど
✔白い穀類は胃腸にやさしい食材が多い
✔白色の野菜は食物繊維やカリウムを多く含む
✔動脈硬化を防ぎ、体調を整える作用
黒色は全体の5%
代表食材…黒米、黒ごま、わかめなど
✔海藻類などの黒い食材にはカリウム、カルシウムなどのミネラルが豊富
✔ごはんの主役になるものは少ないので、トッピングなどで意識的に使う
茶色は全体の10%
代表食材…きのこ、納豆など
✔カルシウム、リンの吸収を促す
✔骨や歯をつくるビタミンDが豊富
プラスαで入れるとさらに栄養価がアップ!
代表食材…油、チーズ、みそなど
普段の手作りごはんに少量をくわえると栄養価があがるのでおすすめです。味の濃いものが多いので、嗜好性が高まります。
ただし、チーズやみそなどは脂質や塩分が高いので、毎回入れるのではなく、少量をたまにトッピングする程度にしておきましょう。
色別のおすすめ食材

穀類
▼茶色の食材
・雑穀米
ミネラルが豊富で、白米に対して2割くらい混ぜて炊くのがおすすめ
・小麦発芽
発育を促進する亜鉛が豊富
・そばの実
活性酸素をおさえるルチンやたんぱく質が豊富
▼白色の食材
・白米
炊いたものを十分冷ましてから与える
柔らかく吸収率は約98%と消化しやすい
・そうめん
消化がよく、食欲不振ぎみのときのエネルギー源として有効
・うどん
糖質がすくなくヘルシー
肉やたまごなど、たんぱく質豊富な食材と一緒に与えるとよい
・全粒粉
糖質の代謝をうながす
便秘を予防し、解消する食物繊維が豊富
少量をときどきあたえるのがおすすめ
▼黒色の食材
・黒米
ビタミン類や鉄分が豊富
抗酸化作用をもつアントシアニンも豊富です
▼黄色の食材
・コーンフレーク
鉄分、糖質が豊富で吸収によい
人間用のものではなく、無糖タイプを使う
・パン粉
白米よりもミネラル分が豊富
ビタミンB1、ビタミンB2も豊富
・スパゲッティ
銅や亜鉛が豊富
貧血予防にも効果的
・オートミール
糖質や脂質の代謝を助ける
お湯で5分煮るとお粥状になります
・麩(ふ)
脳の活性化に効果があるとされるグルタミン酸が豊富
すりおろして粥状にして与えるとよい
肉・魚類
▼茶色の食材
・あじ
ビタミンB2が豊富
脂質の代謝をうながして、動脈硬化の予防に効果的
春から夏ころが旬の魚
・いわし
カルシウムが豊富
骨もいっしょにつみれにすれば効果的に摂取できます
・かつお節
脂質がたったの3%でヘルシー
だしやトッピングに使いやすい食材
▼赤色の食材
・レバー
良質のたんぱく質を多く含み、造血作用が高い
アクが出やすいので、さっと下茹でしてから使いましょう
・ささみ
高たんぱくで低脂肪
糖質の代謝に欠かせないビタミンが豊富
・鶏肉
滋養強壮、血流促進が期待できる
カロリーが気になる場合は皮を取ると約60%カットできます
・牛肉
必須アミノ酸が豊富
鉄分を多く含み貧血を防ぎます
脂肪分の少ないもも肉がおすすめ
・鮭
抗酸化作用があり、がん予防や皮膚強化に効果的とされる
消化吸収がよい
・まぐろ
ビタミンB6が豊富
ミネラルの一種でモリブデンが貧血予防に効果
そのほか
▼赤色の食材
・赤ピーマン
カロテンががん抑制効果
食物繊維が豊富なので便秘解消に役立ちます
・トマト
リコピン豊富でがん予防に良いとされる
栄養価の高い完熟タイプがおすすめ
・クコの実
カルシウムと必須アミノ酸を多く含む
細かく刻んで与えるとよい
▼黄色の食材
・かぼちゃ
βカロテンやビタミンCが豊富
ワタ部分もいっしょに調理しましょう
・にんじん
豊富に含まれるβカロテンは、油で調理すると吸収率が上がります
・しょうが
殺菌作用や食欲増進作用がある
すりおろして少量を使うのがおすすめ
・ごぼう
食材の4割が食物繊維
糖の吸収をおさえ、糖尿病や肥満対策に有効
・大豆
炭水化物と一緒に与えると動物性たんぱく質並みの栄養価に
市販の水煮をさらにゆでてもOK
・おから
ビタミンと食物繊維が豊富
肥満予防、排せつ促進に効果的
▼白色の食材
・ヨーグルト
便秘の予防、解消に効果的
豊富な乳酸菌が腸内環境を整えて、がんへの抵抗力を高めます
無糖のものを選びましょう
・豆乳
イソフラボンが豊富で乳がんや前立腺がんの予防に効果があるとされています
・豆腐
吸収しやすいたんぱく質が豊富
大豆よりも吸収効率がよく、胃腸が弱っているときに最適です
・じゃがいも
カリウムの王様
体内の塩分バランスを保ち、腎臓の働きを助けます
・白菜
カリウムとカルシウムが豊富
利尿作用や風邪の予防にも役立ちます
・れんこん
カリウムやビタミンC、食物繊維を多く含みます
便秘改善に効果的です
・もやし
胃腸の働きを整える消化酵素アミラーゼが豊富
・だいこん
ジアスターゼを豊富に含む食材
食物の消化を助ける働きがあります
▼緑色の食材
・きゃべつ
ビタミンU(キャベジン)が豊富
胃潰瘍を予防して消化不良を防ぐのに効果があります
・オクラ
ペクチンやムチンなどの食物繊維が豊富
胃腸を整え、便秘を防ぎます
・えだまめ
野菜と豆類の両方の栄養特徴を持つ
ビタミン豊富で高たんぱくです
・さやいんげん
ビタミンAが豊富で、疲労回復や夏バテ予防に効果的
下茹でしてから与えましょう
・きゅうり
ビタミンCやビタミンEが豊富
高い利尿作用も含まれます
・小松菜
ほうれん草の5倍のカルシウムを含む
下茹でせずに使えます
・ブロッコリー
がんや風邪予防に効果的で、皮膚の調子を整えるビタミンCを多く含む
ビタミンCの含有率はレモンの約2倍
・ピーマン
ビタミンCが豊富
牛肉に含まれる毒素を中和します
・アスパラ
アスパラギン酸が豊富
疲労回復に効果的です
▼黒色の食材
・きくらげ
キノコ類の中では食物繊維を一番多く含む
便秘改善に効果的です
・こんぶ
食物繊維が豊富で大腸がんを予防
筋肉の働きを整えるカリウムも豊富
・黒ごま
動脈硬化の防止に効果的
すりつぶしてトッピングにすると使いやすい
・わかめ
ぬめり成分の食物繊維アルギン酸がコレステロールの排出を助けます
▼茶色の食材
・納豆
ナットウキナーゼを含む
血栓を溶かし、血液をサラサラに
・干ししいたけ
ビタミンDが豊富
生のしいたけよりも骨や歯を強くする効果があります
・しめじ
ビタミンB2ががん予防に効果があります
プラスαの食材
▼黄色の食材
・パルメザンチーズ
カルシウムが豊富
嗜好性がかなり上がるので、食いつきをよくしたいときに少量使うのがおすすめ
・ごま油
セサミンなどの抗酸化物質を含みます
がん予防にも効果的
・食塩不使用バター
ビタミンAを多く含み、80%が乳脂肪
皮膚や胃腸の粘膜を守ります
▼白色の食材
・カテージチーズ
神経の働きを整えるビタミンB12を含む
80%は水分
・サラダ油
ビタミンEを多く含み、発がんをおさえる効果があります
・脱脂粉乳
たんぱく質やカルシウムを牛乳と同程度に含む
低脂質の栄養食です
▼茶色の食材
・みそ
たんぱく質やビタミンEが豊富
塩分が高いので使うときは少量に
犬の健康状態に合わせて色のバランスを変えましょう

皮膚や内臓の疾患、肥満など、健康面で不安をかかえている場合には、食材の色で栄養バランスを考えることができます。
愛犬の体調に問題があるときは、ふだんのごはんの色を振り返ってみるのがおすすめ。ある1色が多すぎたり、少なすぎていることがありますので今後は色のバランスに気をつけましょう。たとえば、肥満で悩んでいる場合などは、赤色の食材の割合が多すぎるケースがよくあります。
色のバランスを調整することで栄養素を変えることはできますが、ここでもやりすぎは禁物。肥満ぎみだから赤色食材をゼロにしたり、胃腸が弱いから白い食材を極端に使うなど、特定の1色を増やしすぎたり、減らしすぎることがないようにバランスを考えましょう。
栄養バランスの偏りは、かえって健康に悪影響を及ぼすことが多いので注意が必要です。
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